QP-Days 『スウィーニー・トッド』@日生劇場
管理人が観たミュージカル、ストレートプレイなどの観劇記です・・・最近は福本漫画成分増量中。
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『スウィーニー・トッド』@日生劇場
※後日観劇日に移動させます
『スウィーニー・トッド?フリート街の悪魔の理髪師?』@日生劇場
1月26日(金)18:30開演
2階H列31番(A席)
 
[作詞・作曲]スティーブン・ソンドハイム
[脚本]ヒュー・ホィーラー
[演出・振付]宮本亜門

スウィーニー・トッド


§キャスト§
◆スウィーニー・トッド…市村正親
  彼を冤罪に陥れた人々への復讐を誓う床屋。
◆ミセス・ラヴェット…大竹しのぶ
  トッドの床屋の大家のまずいパイ屋。トッドの秘密を知る。

◆ジョアンナ…ソニン
  トッドの1人娘だが、ターピンに引き取られ養育されている。
  アンソニーと恋に落ちる。
◆アンソニー…城田優
  流刑地から脱出したトッドの命を救った若い船乗り。

◆ターピン…立川三貴
  かつてトッドの妻に横恋慕し彼を無実の罪に陥れた判事。
  美しく成長したジョアンナまでも自分のものにしたいと願う。
◆ビードル…斉藤暁
  ターピンの片腕の小役人。トッドの正体を疑う。
◆ピレッリ…中西勝之
  イタリア人のインチキ理髪師。トッドの正体を知り脅迫を仕掛ける。
◆トバイアス…武田真治
  ピレッリの助手だったが、彼が“行方不明”になってはラヴェット夫人を
  慕い、店で懸命に働く。頭が少し弱く、肉の真実ついては知らない。
◆乞食女…キムラ緑子
  狂ったように不吉な言葉を撒き散らす。

阿部裕、大須賀ひでき、岡田誠、越智則英、小関明久、さけもとあきら
中西勝之、水野栄治、山田展弘、秋園美緒、北澤装子、菅原さおり、高橋桂
福麻むつ美、三木麻衣子、山崎ちか (五十音順)

§あらすじ§
18世紀末のロンドン。
理髪師ベンジャミン・バーカーは無実の罪で島流しとなり、その流刑島から命がけで逃亡。水兵のアンソニーに助けられ、スウィーニー・トッドと名前を変えて15年ぶりに戻ってきた
好色なターピン判事がトッドの妻に横恋慕したため、邪魔な夫トッドを流刑にしたのである。その間に妻はターピン判事に襲われそのショックで自殺、娘ジョアンナは養女としてタービンが育てられていた。

トッドは、かつての我が家だったラヴェット夫人が営むパイ屋の2階に床屋を開き、まずは自分の過去を知る人間たちを殺す。ロンドン一まずいと評判だったラヴェット夫人のパイ屋だが、トッドが始末に困った殺した人間はパイの肉として売るとなんとパイは旨い!と大評判、殺人をするほど店は繁盛する。
店の付近をうろつく乞食女は、店から出る煙の匂いがくさいと様子をうかがい怪しいそぶりをみせる。
一方、ターピンは美しく育ったジョアンナを妻として迎え、一生そばに置こうと欲望の炎を燃やす。ジョアンナに恋している水兵のアンソニーは彼女を救い出し、駆け落ちを計画するが、失敗。ターピンによりジョアンナは精神病棟の隔離病棟に入院させられてしまう。
こうした中、トッドはターピン判事と部下のビードルを殺そうと画策し、銀の剃刀の歯を光らせる…。

乞食女、ピレッリ、そして頭の回転はちょっとゆっくりだが、次第にトッドがあやしいと思い始めるトバイアス、すべてがトッドとラヴェット夫人の運命を悲劇の終末へ導いていく。

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イギリスの有名な殺人鬼と言えば、『切り裂きジャック』と『ソニー・ビーン一家』。前者は19世紀末のロンドンの街に現れた連続殺人鬼。後者は100年戦争の頃にグラスゴー付近の洞窟に一族50人で暮らし、旅人を襲ってはそれらで保存食を作り「自給自足」の生活をつづけていた。
この二つをMIXしたような存在なのがこのミュージカルの主人公スウィーニー・トッド。彼も18世紀末に実在したと言われている伝説の殺人鬼。

トッドの理髪店は大繁盛、次々お客は入っていくが、出て来た者は誰もいない…

一見するとホラー色の濃いミュージカルではありますが、今回の亜門版は安易なスプラッターやこけ脅しの演出だけビックリさせるのではなく、静かで重たい恐怖に狂気と背中合わせの笑いを組み合わせ3時間の舞台をまとめてくれました!
産業革命期の世界が大きく変化する時代に復讐の連鎖がもたらす世界。
その結果をブラックでシュールな笑いの果ての恐怖と哀しさで浮き上がらせていてとても面白かったー!!!
1月に観た舞台の中では一番。

ソンドハイム氏の曲は他の作品と同じようにグールグルと不協和音で上がったり下がったり、不安感とリフレインの快感を感じさせる作り。複雑だけどサビの部分は一発で耳に残るので劇場からの帰り道では思わず鼻歌を歌ってしまいます。
コーラスでやや歌詞が聞き取りにくかったり、曲によっては混乱を表わす為の意図的なのかデュエットで「何を言ってるかサビで同じフレーズを歌うところ以外わからーん」なこともあったりもありましたが、2階センター席ではおおむね良好に聞けました。

最初にキャストをみた時は「ソンドハイムなのにミュージカルよりストプレ系の人が多くて大丈夫なの?」と心配したのですが、今回に限っては歌より芝居。きちんと世界観を見せられる演技の上に歌が乗る形になったキャスティングは成功だったと思います。

★舞台装置とか
劇場に入ると舞台の上には大小のパイプが縦横に入り組んで走り、どこかの地下ボイラー室を思わせるような暗いセット。なんとなくレンガか石造りの舞台装置をイメージしていたので、アレ?と意外に思いました。

太いパイプ状の柱の中にジョアンナの部屋があったり、クライマックスで焼却炉のような大きなオーブンが現れたりします。
メインは中央に置かれる可動式のトッドの店。2階が理髪店、1階はラヴェットのパイ屋。2階でトッドが殺人をおかすと、仕掛け式の床屋椅子からそのままダストシュートのように犠牲者たちはスルーッと下のお店に送られます。(このシーンのシュールさは客席爆笑なシーン)

オープニングで客席から現れた2人の男が懐中電灯片手に(この2人は現代人?)暗い部屋のあちこちを照らすと、そこにボーッと浮かぶ人影!
白塗りの顔に目の下には黒いクマメイクをした市村トッド。
ギャー!!!怖いー 8(>M<)8

今回はこの墓場から甦ったゾンビ状態のメイクにギョッとさせられました。
オペラグラスを忘れてしまったのでアップ顔が見られなかったのですが、遠目でも誰も彼もが怖い・・・ジョアンナとアンソニーは唇も赤いので血がついてるみたいでさらに怖い。

衣装も基本は黒やダークカラーです。
街の人たちは当時の雰囲気を出した感じのくたびれた感じのボロ服メイン。
上流階級の判事ターピンは洒落もの風の正装姿。
トッドは白いシャツに黒の吊りズボン姿がセクシーでした。
ラヴェット夫人は地味な黒服からパイで一山当てたあとは、趣味の悪いチャラチャラドレスに変身。
道化役のトバイアスはヘンな衣装(笑)おかっぱのカツラに派手な格子柄のジャケットとか。武田くん・・・去年の黄泉の王子様を思い出させるヘンテコ衣装もちゃんと似合う。
ジョアンナは白いドレスで愛らしさが際立ちます。(でも顔はやっぱり死人メイクで怖い)


★各キャストさんについて

◆スウィーニー・トッド…市村正親
復讐に燃える殺人鬼、トッド。市村さんのトッドは妻と子を奪われた男の心に渦巻く復讐心を上手く表現してました。
うーん、やっぱりこういう濃くて造り込みがいのあるキャラは上手いなぁ。
ラヴェットの気持ちもわかってはいるけれど、常に心ここにあらずな空っぽな感じもあってそこが観ていてちょっと切ない。

復讐を誓ったすぐ後に訪れた幸運。ターピンが早速店に現れてヒゲそりを頼むシーン。
何も知らず椅子に座って鏡に向かうターピンのひげをそっているところは、無音の中にトッドの陽気な口笛だけが響いて怖いです。市村トッドの顔も「あなたの気分が移ったんですよ」とかいいながら笑顔ぎみでチャンスを窺っているのがステキ。
この時は邪魔が入って失敗してしまう訳ですが、その後の激情にかられて2度と失敗するものか!と剃刀をかかげて再び誓うところでの迫力は凄かったですね。

「その日」のためにとサクサクお客を殺して練習に励むトッド。この時の歌は愛娘ジョアンナの身の上を心から心配している内容なのに、やっているのは剃刀スパッ!とお客の首を切り裂き、仕掛け椅子の仕掛けを足で動かして床下の穴に次々お客の屍体を送り込みます。
ウワーッ!と次々地下送りになっちゃうお客さんたちは可哀想なんだけど、このギャップが市村トッドの切ない歌声や表情、淡々とした無駄のない動きと相まって可笑しいったらありゃしない。
そしてこのサクサクとした殺しのシーンが終幕では観ている者の心臓を凍らせるかのような恐怖に転化されるので、それがまた溜まらない。

復讐心で心がいっぱいのトッドは水兵姿に化けている娘の事がわからない。
自分のことを知っている気がする、と言う乞食女の正体にも気付かない。
ラヴェットが隠していた最後の真実を知った時の自分の愚かさと無力さに崩れ落ちるトッドの姿に胸が苦しくなりました。
市村トッドの見開いた瞳に映った赤い世界にやりきれなさを感じます。


◆ミセス・ラヴェット…大竹しのぶ
大竹さんはミュージカル初挑戦(音楽劇は何度か出演)ということで、どんなものかしら?と思っていたのですが・・・うーん、やっぱり大竹しのぶは大竹しのぶだ。
歌おうが台詞を言おうが芝居としてキッチリ成立しているので、多少調子がはずれようが全く美しくない声だろうが私としては全てOKです。
最初の声がしゃがれた感じだったのでちょっと心配してしまったのですが、声が潰れていた訳ではなくて、そういう役作り。
未亡人暮らしが長くてどこかやさぐれた感のある下町女ラヴェット夫人。細かいことは気にしない図太さと愛嬌があって、そして恐ろしい。
アッケラカンと「合理的」な考えで死体処理と肉の仕入れを一緒にしちゃえ!と思い付くくだりも大竹さんのガサツな動きとチャーミングな笑顔が陰惨な物語に不思議な明るさをもたらし、更にイカレタ感をかもし出していてグーでした!

市村トッドとのかけあいもお見事でした。
1幕最後の「♪牧師はいかが」でいろいろな職種の人間をパイの材料にしてみたら?という歌でトッドとあの職業はこんな味、と言い合うのですがそこの2人は本当に楽しそうでハイな幸福感に満たされてます。
そういえばここで「ケーキ屋!(お菓子屋だったかな?)」「期限切れ!」というやりとりはペ○ちゃん時事ネタ(笑)

人肉ミートパイで店が繁昌し始めて、もっとお金がたまったらトッドと2人で海の見える小さい家で暮らしたい?♪ と陽気な声で頬を赤らめて歌うけど、手元では明日の仕込み用に人肉の処理をテキパキ片付けているところも、バカ受けポイント。
露骨に片思いのトッドにあれこれと世話を焼くシーンでは恋する女の可愛らしさもあっていいなぁ。トッドの正体を怪しむトバイアスには母親というより姉のように優しく接しているのが良い雰囲気でした。

なので終幕で彼女がトッドの妻の行方を知っていたのに黙っていた事の言い訳をするシーンは観ていて痛々しかった・・・合理的に考えて、それが一番だと彼女は信じていたんだから。愛した人の手で地獄の業火に落とされた彼女はそれでも幸せだったのか。


◆ジョアンナ…ソニン
「カレーライスの女」のイメージが強烈すぎて他のイメージがイマイチ浮かばなかったソニンちゃん。歌が上手いのはなんとなく知っていたのですが、ビックリ!ビブラートをきかせたハイトーンの歌声がイイ感じでした。
軟禁生活のお嬢様なジョアンナの不安定さと繊細さを感じさせる声が役のイメージにあっていました。他のミュージカルでも見てみたいな。
前半の世間知らずのボンヤリさん(でも特殊な環境下でちょっと神経質)な雰囲気と後半の追い詰められた緊張感が良かったです。

◆アンソニー…城田優
タキシード仮面・・・いやー城田くんホントに背が高かったんですね。身体付きもガッシリとしていたので、1人だけ巨人が混ざってる風でした。(市村さんはじめ、共演者は皆わりと背が低めな人が多かったんだね)この血と復讐の物語の中で唯一の部外者にして純粋な青年アンソニー。間の悪いところに度々現れてトッドの復讐の邪魔をしてしまう訳ですが、これは逆に考えるとトッドを止める為の運命の使者でもあるんですね。結果的にさらなる悲劇を呼び込む厄病神とも言えますが。
その間の悪い演技。ちゃんと客席の笑いを取っていたので良かったんじゃないでしょうか。厭味のないキャラ作りで好感度高かったです。
ジョアンナとのラブラブっぷりも良かった。歌声は低音が良く響く。
テニミュ以外の舞台にもっと彼も出てくれないだろうか・・・。

◆ターピン…立川三貴
◆ビードル…斉藤暁
トッドを不幸に陥れた2人。
立川ターピンの粘度の高い芝居とアッサリ目の斉藤ビードルの芝居の違いが良いコンビでした。立川ターピンのネチネチした嫌らしさがあってこそ、トッドの復讐を観客も応援する気になるってものです。

◆トバイアス…武田真治
ロンドン市民の役でオープニングの群集に混じっている時とオツムの弱いトビーの時の演じわけが凄いです。最初そこもトビーなのかと思ったのでアレ?と思ったのですが、後の市場で赤毛のおかっぱ姿でクネクネと出て来てまたビックリ、みたいな。

トビーではちょっと内股ぎみ&ゆっくり舌足らずな芝居でキャラ作り。皆が不味いというラヴェット夫人のフツーのミートパイもニコニコして美味しく食べてました。
別作品の黄泉の王子様のようなドカン!とハッタリが効くキャラとは違って、繊細な動きや表情の積み重ねでトビーの不安や愛情を出していかなくちゃなりません。
忠実な子犬のような雰囲気でラヴェット夫人の為にせっせと働く姿が泣けます。

トッドさんは怪しいです!と夫人の身を心配して「♪僕がついている」と歌う姿も健気でイイ。アンソニーとはまた違うトビーの純粋さがとても感じられて良かった。
地下に閉じ込められて本物の狂気に囚われていく過程は可哀想でした。
あの惨劇の後始末を全部彼が背負っていくんでしょうか。
ミンチの機械をギーギー回す2回のシーンでの雰囲気の違いが怖くてねぇ。


◆乞食女…キムラ緑子
物語の全てのカギを握る狂女。感情を表に出せる他のキャラクターに比べて、一番難しい役なのかな。狂った心は凶暴で下世話で普通の人はお近づきになりたくないです・・・けれど時折見せる心の奥に封じ込めた記憶が彼女の心を揺らし、何かを思い出させようとします。その揺らぎの一瞬がちゃんと感じられて上手いなぁ。
クライマックスで甦った記憶のピースを必死に集めようとトッドに声をかけた事が最後の悲劇を産み出すというシーンでは客席は重く静まり返った空気に。
狂気の中で歌う子守唄は美しかったです。
最後の地下での死体姿がただ倒れているだけなのに、やけにリアル感があって作中で一番怖かった。あの無気味さはなんだろう・・・運命に翻弄された彼女の無念さがにじみ出ていたんだろうか。

◆アンサンブルさんは前述のようなお揃い死人メイクの為、誰が誰やら見分けが難しかったー。同じホリプロの「ジキル&ハイド」程ではないにしても、パワフルな感じが良かったです。

この作品は早い内に再演しないかなぁ。
作品のテーマとしても「復讐と正義の行方」という今の時代にはハマってる内容をストレートに出していて、終演後は重い気持ちになるけれど、その先にあるものを感じさせてくれる確かな力を感じました。
後味はジャリジャリと砂を噛んだような気分なんだけど、作品そのものへの不快感は全くなかったですね。多分この哀しい復讐譚のベースが誰かへの愛情から生まれたものだったからかもしれません。
前回の日本版は25年前だっていうけど、今度はそんなに間を開けないで欲しいです。

数年前に同じスウィーニー・トッド伝説を元にした映画がありまして、それがヒジョーに面白くなかったんですよ(笑)わざわざ前売りを買って新宿の映画館で見た私はちょっと「金かえせ」気分でした。(ミュージカル作品ではありません。全く別物です)
今度はティム・バートンがジョニー・デップと組んでミュージカル版を元に新たに制作されるとの話があるので、そちらは楽しみにしています。
ターピン判事はアラン・リックマンだっていうのでそれも楽しみ〜♪

コメント

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こんばんは(o^-^o)
この作品は地元でもあるので、迷ったのですが、ホラー系は全くダメなのでパスしたのですが、やっぱり観に行けば良かったかなぁ?(・_・?)
よーりん | URL | 2007/02/21/Wed 21:52 [EDIT]
個人的にはオススメでした
ホラー系が苦手な方だと一部の演出でビックリしてしまったかもしれません。(内容が内容ですので)
ですが物語も音楽もよく出来ていて、単に怖がらせるだけでなく笑えたし胸に残るものがある良いミュージカルでした。
もし、このメンバーで再演があったら是非(^^)v
くづき | URL | 2007/02/22/Thu 09:27 [EDIT]

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ティム・バートンJP 2007/02/21/Wed 02:52
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